人治国家を目指すのか

「(新型コロナによる死者は)100万人当たり日本は7人。(欧米諸国と)民度のレベルが違う」。麻生財務相が誇る。だが韓国は5人、中国は3人ほど。「7人」の日本は中国の倍以上だ。日本の「民度」は中国の半分以下?

▼生活保護費引き下げは違憲だとして受給者が国を訴えた裁判で、先月に名古屋地裁は「(自民党の政策は)国民感情や国の財政事情を踏まえたもの」だとして請求を棄却。だが生活保護基準は「厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし/最低限度の生活の需要を満たすに十分なもの」(生活保護法)とされ、国民感情や財政事情、与党の政策を考慮すべき法的根拠はない。

▼やはり先月には、18~19歳の犯罪に対する検察官送致の拡大方針を与党が決定。実名報道も解禁する方向だ。だが少年犯罪件数は、凶悪犯を中心に戦後最少を更新し続ける。これと逆行した「更生から厳罰化へ」の転換は、むしろ再犯リスク拡大につながりかねない。

▼法律やデータよりも「国民感情」を重んじる日本社会。法治国家の看板を下ろし、人治国家を目指すならそれも悪くはない。「民度」とやらが伴えばの話だが。