酒類 訪日客注力から一転、内需拡大へ舵 近畿卸酒販組合 竹内理事長に聞く

近畿卸酒販組合の新理事長に竹内昭二氏(マスダ社長)が就任した。組合ではこれまで訪日外国人の需要取り込みに注力してきたが、コロナ禍で市場が一変し、若者層の需要拡大と事業多角化に方向転換して業界活性化を目指す考えだ。竹内理事長に方針を聞いた。

若年層取り込み目指す

1年前には考えられなかった環境に直面している。飲食店が営業できないとわれわれは手も足も出せず、いかにこの業態に支えられていたかと実感した。業務用マーケットが元のサイズに戻るのに何年かかるか分からず、一方で家庭用は比較的好調。当社も分母が少ないながら直販が4月に2倍、5~6月に1・5倍伸長した。これを機会に商売を特定せず、家庭用、業務用、Eコマースを含め、マルチに広げていくべきだと感じた。

羽田前理事長が推進してきたインバウンドの需要開発は、残念ながら休止せざるを得ない。特に大阪や京都はコロナ前には訪日外国人で溢れ、日本の食に日本の酒を定着させたかったが、まず直近の課題対処に注力すべき。世の中の状況を見ながらいずれ再開したい。

酒類業界活性化のために、ビール大手4社はじめ清酒・その他酒類メーカー、小売業、飲食店と一緒にイベント等の開催を模索したい。需要活性のカギはアルコール離れが進む20~30代若年層。酒好きもいるが、大半は酒の良さを知ることなくネガティブなイメージを持っている。われわれの世代は学生時代に先輩から飲まされながら徐々に味を覚え、好んで飲むようになった。今はもちろん強要はご法度だが、その分、酒をスタートするきっかけも失われている。個人的意見で言えば、酒を飲まない人生と、嗜みながら送る人生は違う。日本のようにこれほどバラエティに富んだ酒類が揃う国は他になく、若い人たち自らが楽しく選べるきっかけづくりに取り組みたい。

自粛解除後は低価格、ディスカウント系の需要が高くなってきた。10月には酒類の増減税が実施されるが、家庭用主力商品である第3のビールは、小売業の安売り合戦を加速する恐れがある。われわれ中間流通が巻き込まれないようコスト意識を啓蒙していく。

近畿卸酒販組合は大阪、京都、奈良、和歌山、滋賀の2府3県が密接なつながりをもっている。コロナ禍でマイナスの時こそ皆で知恵を働かせて先々を考え、地域特徴を生かしていきたい。

【略歴】1956年12月高知県生まれ、63歳。80年サントリー(現サントリーHD)入社、99年8月退社。同年9月旭食品入社、2017年6月マスダ社長就任。20年3月旭食品取締役近畿支社長を退職し、4月より現職に専任。5月近畿卸酒販組合理事長に就任。